現役社会福祉士が解説!困ったときに使う社会保障について考えてみよう

みなさんは社会保障についてご存じですか?

社会保障をいざ利用しようと思っても、要件があり利用できないこともあります。

今回は、困った時に誰しもが利用する権利のある社会保障について、現役社会福祉士が解説していきます。

社会保障のしくみ

まずは、社会保障の財源について見ていきます。

令和5年度の一般会計歳出と一般会計歳入

令和5年度の一般会計歳出と一般会計歳入です。社会保障が一般会計歳出総額の32.3%を占めています。

令和6年度厚⽣労働省予算案(一般会計)

政府は少子高齢化によるプライマリーバランス(PB)の黒字化のために増税が必要だと言っています。プライマリーバランス(PB)とは社会保障や公共事業などの行政サービスを提供するための政策的経費を税金等で賄えているかどうかを示す指標です。

現在、日本はPBが赤字であり政策的経費を借金で賄っている状況です。

社会保障制度を活用する際の留意点

利用するにあたり、年齢や状況、所得などによって利用要件があります。

また、利用要件に当てはまっていても、本人の申請がなければ利用することができません。

これを申請主義と言います。

社会福祉士は利用者がスムーズに利用できるよう、必要に応じて説明をし、関係機関に問い合わせをする支援を行います。

また、制度によってサービスの優先順位があったり、例外的にサービスを利用できることもあります。

※優先順位としては

①損害賠償(自賠責保険等)

②業務災害補償(労災保険等)

③社会保険

④社会福祉

⑤公的扶助(生活保護)

の順番になります。

社会保障の種類

社会保障は大きく分けて4本の柱に分類されます。

  1. 社会保険
  2. 社会扶助
  3. 社会福祉
  4. 医療・公衆衛生

これらは国民の生活の安定が損なわれた時に受けられる公的なセーフティーネットです。

1.社会保険

加入者が事故に備えて保険料を納めるもの

  • 健康保険
  • 国民健康保険
  • 介護保険
  • 国民年金
  • 厚生年金
2.社会扶助
  • 社会手当:児童手当、児童扶養手当等
  • 生活保護
3.社会福祉
  • 児童福祉
  • 障害福祉
  • 高齢者福祉
  • ひとり親家庭福祉
  • 生活困窮者自立支援制度
4.医療および公衆衛生
  • 公費負担医療制度

以上の、4本の柱から成り立っています。

サービス利用の窓口

社会保障制度を利用するためには様々な窓口があります。

それぞれの制度の窓口に問い合わせ、相談することがサービス利用のためのスタートラインです。

どんな制度があり、自分が利用できる対象なのかを知ることが必要です。

申請主義とプッシュ型について

社会福祉士としての立場から思うことがあります。

それは国が、申請主義のデメリットにばかりに目を向けて

全ての困っているだろう人々を拾い上げるプッシュ型にしようとするのに違和感があるということです。

行政がオートマティックに福祉を受ける対象を選定しようとするシステムを作ろうとしています。

行政の手続きは複雑で面倒くさいかもしれません。

しかしながら、現実には「どこの窓口に行ったらいいか分からない」「制度のしくみが分からない」といった当事者の声をよく耳にします。

「こんな制度があって、こういうふうに利用できます」といった行政の広報活動が上手くいっていないのだろうと思うのです。

福祉は自己決定が基本であり、申請することで選択の自由を行使できるものだと考えています。

先回りして、当事者が求めていないサービスを提供しようとするのではなく

その人がその人らしく生きていけるように黒子のようなスタンスで支援するのが社会福祉士の使命だと日々感じています。

まとめ

今回は社会保障制度について説明しました。

利用する側も、支援する側も、当事者意識を持つことが必要です。

現行の社会保障は様々な制度と様々な窓口があり、利用しにくいのが現状です。

個人的には制度を最小限にすることで、セーフティネットを強化できるものだと考えています。

増税して社会保障費を増やそうとするのではなく

無駄な事業がないか点検し削減することが必要だと考えています。

減税は福祉!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

参考文献:医学書院 医療福祉総合ガイドブック