【法案調査】ほんとうに必要?育児・介護休業法&次世代育成支援対策推進法の一部を改正!

あおい

第213回国会にて議論される

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)及び 次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案

について浜田聡参議院議員のご依頼にて調べました。今回、反対の立場をとらせていただきます。

法案の問題点について考えていきます。

まず、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)と、次世代育成支援対策推進法とは何かざっくりと説明します。

育児・介護休業法とは

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律は、通称「育児・介護休業法」と呼ばれます。1991年(平成3年)5月15日に交付され、1992年(平成4年)4月1日に施行されました。この法律は、労働者が育児や家族の介護を行うために、仕事を休んだり、労働時間を短縮したりするのを支援するための制度です。育児休業、介護休業、時短勤務、フレックスタイム制度などが挙げられます。

参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

次世代育成支援対策推進法とは

次世代育成支援対策推進法は、子どもの健全な育成を支援するために必要な様々な政策を推進することを目的としています。2003年(平成15年)7月16日に成立し、同日施行(第2章以下は平成17年4月1日施行)されました。10年間の時限立法でしたが、平成26年の改正によってさらに10年延長されました。教育の充実、子育て支援の充実、子どもの健康づくりなどが挙げられます。

参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)次世代育成支援対策推進法

改正の趣旨&概要

では、今回の改正法案の趣旨&概要についてみていきます。

改正の趣旨

男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公開義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講じる。

引用元 厚生労働省:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案(令和6年3月12日提出)

改正の概要

1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

  1. 3歳以上の小学校就学前の子の養育者の働き方を柔軟に。
  2. 残業免除の範囲を、現行の3歳未満から小学校就学前の子の養育者に拡大。
  3. 子の看護休暇に子の行事参加等の場合も可。現行の小学校就学前から小学校3年生の子の養育者に拡大。
  4. 3歳未満の子の養育者に対し事業所が講じる努力義務に、テレワークを追加。
  5. 妊娠・出産の申し出時や子が3歳になる前に、仕事と育児の両立について個別の意向の聴取及び配慮を事業主に義務づける。

2.育児休業の所得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化

  1. 公表の対象を、常時雇用する労働者数300人超(現行1000人超)に拡大。
  2. 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に、育児休業の取得状況等の係わる状況把握・数値目標を事業主に義務付ける。
  3. 令和7年3月31日までの時限立法である次世代育成支援対策推進法を、令和17年3月31日まで延長する。

3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

  1. 労働者が家族の介護を申し出た際に、事業主に両立支援等について個別の周知・意向確認を義務付ける。
  2. 両立支援等の関する早期の情報提供や研修などの雇用環境の整備を事業主に義務付ける。
  3. 家族の介護をする労働者に対し事業所が講じる努力義務に、テレワークを追加。

参考 厚生労働省:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案(令和6年3月12日提出)

今回の改正の趣旨と概要になります。

あおい

自分自身も一人に子を育てる親であり、子が小さいころにはよく熱を出し具合いが悪いと仕事を休むこともありました。

代わりに出勤する人を探し、公休を振り替えたり、有休を使用したりと子が具合いが悪いからとて簡単に休めるものではありません。職場によるんでしょうけど。

個人的には「働いたら負け法案」だなという印象です。

仕事と育児・介護の両立支援

では、今回の法改正でどれほどの予算が充てられるのでしょうか。

労働保険特別会計1482億9690万9千円(令和5年度予算額より354億2524万円増)のうち、仕事と育児・介護の両立支援に249億円(令和5年度予算額より87億円増)が充てられます。

【主な事業】

  • 両立支援等助成金 181億円
  • 中小企業育児・介護休業等推進支援等事業 3.4億円
  • 男性の育児休業取得促進事業 1.3億円

上記の3事業についてみていきます!

両立支援等助成金181億円

厚労省:雇用環境・均等局

【育児休業】

  • 出生時両立支援コース 41.5億円
  • 育児休業等支援コース 40.2億円
  • 育休中等業務代替支援コース(新規) 87.8億円

新規で創設されるコースとして、育休中等業務代替支援コースがありますが、業務を代替する周囲の労働者への手当支給や、代替要員としての派遣受け入れの含んだ新規雇用のための助成がなされます。

【育児期の働き方】

  • 選べる働き方制度支援コース(新規) 3.7億円

こちらも新規で創設されるコースです。育児期の柔軟な働き方に関する制度等を導入した上で制度利用者を支援するものとなります。

【介護との両立】

  • 介護離職防止支援コース 5.1億円

事業主に支給することにより、仕事と育児・介護の両立支援に関する事業主の取り組みを促し、労働者の雇用の安定を図るとしています。

中小企業育児・介護休業等推進支援等事業 3.4億円

厚労省:雇用環境・均等局

この事業で着目したいのが、仕事と家庭の両立支援プランナーという存在です。中小企業に訪問し、プラン策定を無料で行うというものです。無料つまり税負担化です。

具体的な支援のイメージとしては、現状をヒアリングし課題を抽出し取り組み内容の整理・アドバイス、フォローアップといったところです。令和4年度支援実績として1,610件あります。

税負担化した無料と言う名のバラマキを中小企業に受け取らせるために、さらに税金を使ってプランナーを雇うとは何とも税金の無駄遣いだなという感想です。仕事と家庭の両立支援プランナーがどういった職種が担っているか調べてみると社会保険労務士であることが分かりました。(Googleで検索してみると社労士の方々のブログが出てきます)

予算3.4億円のうち、社会保険労務士の方々に渡されるのか人件費はどれほどなのか気になります。ちなみに令和6年度中小企業育児・介護休業等推進支援事業は、パソナが業務委託を行っています。

厚生労働省:株式会社パソナ 育児・介護支援事務局

男性の育児休業取得促進事業(イクメンプロジェクト)

厚労省:雇用環境・均等局

イクメンプロジェクトとは、その名のとおり育児をする男性(イクメン)やイクメンを増やそうとする企業を周知・広報・支援するプロジェクトのことです。平成22年からプロジェクトが始動しました。

個人的には翌年に親になったのですが、男性も一緒に育児をしよう!みたいな気運になってきたなという印象があります。この頃から、イクメンという言葉が流行り出したような気もします。

これには数値目標というのがあって、令和4年度実績で男性の育児休業取得率は17.4%を、令和7年度は目標値50%を目指しているようです。(こども未来戦略で令和5年12月22日閣議決定)

ここで着目したいのは、若者の意識調査や企業へのシンポジウム、企業等へのセミナー開催、イクメン普及啓発資料作成、公式サイト「イクメンプロジェクト」運営に1.3億円の税金を使うことです。(公式サイトには令和4年度実績で約110万件のアクセス件数があったようですが)

浜田聡参議院議員に国会で質問していただきたいこと

  • 令和6年度は労働保険特別会計1482億9690万9千円(令和5年度予算額より354億2524万円増)のうち、仕事と育児・介護の両立支援に249億円(令和5年度予算額より87億円増)が充てられています。昨年度より予算が増えているのは、育児介護の両立支援の措置の拡充が図られようとしているからではありますが、ほんとうに必要なのでしょうか。税金の無駄にしか思えません。
  • 子の年齢に応じて柔軟な働き方を実現するために、働かないことを推進するようなことを中小企業に義務付けするべきではないと考えます。中小企業の采配に任せるために減税と規制廃止を実行する必要があるのではないでしょうか。
  • 子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とする意味がわかりません。既存の有給休暇や企業が独自で作る休暇制度で対応できるのではないでしょうか。目的外のこじつけによって中小企業に助成金を渡す理由を無理やり作っているのではないでしょうか。
  • 中小企業育児・介護休業等推進支援等事業の予算3.4億円のうち、令和6年度の業務委託を行う株式会社パソナや社会保険労務士が担っているとみられる仕事と家庭の両立支援プランナーに対して、どれほどの補助金や人件費が支払われるのでしょうか。

仕事をしないのにお金が支給される矛盾

昨今の政府のバラマキ政策を目の当たりにして、仕事をしないのにお金が支給されるのはおかしいと考えるようになりました。

私自身も20代後半に産休・育休の経験をしました。若いころは貯金もほとんどなく元夫は震災の影響で失業状態でしたが育児休業給付金で何とか生きることができたのは大変感謝しています。

しかし振り返ってみると、産休・育休前に税金や社会保険料を納めてきました。賞与まで社会保険料が引かれることに対して良く思っていない若者でしたし。自分より一回り上の先輩からは、昔は賞与から社会保険料は引かれなったと聞き唖然とした覚えがあります。たしかに育児休業中に雇用保険から給付金をもらえるのは助かります。しかし元を辿れば私たちが納めたものです。少子化が進む中、このようなバラマキはいつか破綻してしまいます。

このような働いたら負けを促すような法案を許してはいけないと考えます。それよりもバラマキやめて減税を行うことで可処分所得を増やす方向に舵をとるべきだと考えます。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!