【法案調査】日本に共同親権を導入!子どもの利益を重視した新たな親子のカタチとは

あおい

こんにちは!あおいです。

今回は第213回国会にて議論される民法等の一部を改正する法律案について浜田聡参議院議員のご依頼にて調べました。

今回の改正案については、賛成の立場をとらせていただきます。

キーワードは共同親権です。この共同親権については昨今、賛否両論が飛び交っています。

私も親権者として子を育てる母親ですので、このブログ記事がお役に立てると嬉しいです。

共同親権と単独親権

婚姻時は夫婦で一緒に子どもを育てようというのが当たり前ですので、夫婦とも親権者であり共同親権をとっていると言えます。

しかし子を持つ夫婦が離婚や別居において別々の居住地に住む場合に、子どもの養育の責任を片方の親に帰属する単独親権が日本では当たり前です。

今回の制度改正案では、親子関係に関する規律や親権の性質の明確化が法律に明記され、夫婦が話し合って基本的には共同親権をとりなさいということが提案されています。

海外での共同親権制度の採用状況

世界各国では共同親権制度はさまざまな形態で施行されており、2024年3月現在、法務省が24か国に調査を依頼し22か国が何らかの形で共同親権を採用しています。

原則として共同親権を認める国:アメリカ、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、インドネシア、韓国、タイ、中国、フィリピン、イタリア、イギリス、オランダ、スイス、スウェーデン、スペイン、ドイツ、フランス、ロシア、オーストラリア、サウジアラビア、南アフリカ

共同親権を認めない国:インド、トルコ

法務省は以下の項目に分けて調査をし2020年4月に結果を公表しています。

⑴ 各国の親権の内容及び父母の離婚後の親権行使又は監護の態様
ア 父母の離婚後も共同で親権を行使することを許容する制度の有無
イ アの制度が採用されている場合に,父母が共同して行使する親権の内

ウ 父母の離婚後の子の養育について,父母の意見が対立する場合の対応
⑵ 協議離婚(裁判所が関与しない離婚)の制度の有無
⑶ 子の養育の在り方について
ア 父母の離婚時に子に対する面会交流又は子の養育費の支払について取
決めをする法的義務の有無・内容
イ 公的機関による面会交流又は子の養育費の支払についての支援の有
無・内容
ウ 父母の離婚後に子を監護する親が転居をする場合の制限の有無・内容
⑷ 離婚後共同親権制度の下における困難事例
⑸ 嫡出でない子の親権の在り方

法務省:父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について
あおい

特に意外だなと思ったのは中国です。父母が離婚をしても監護教育権及び財産管理権の双方を共同行使するとあり、親権者を定めるような法律はないんだなぁと。

民法のココが見直されます!

法務省の家族法制部会の資料によると大きく7つの項目が見直されます。

では、項目ごとに確認していきます。

1.親子関係に関する基本的な規律

父母(親権者に限らない)の責務等が明確化

  1. 父母は子の成長のために、自分自身と同等の生活を子が維持できるようにする
  2. 父母は子の権利の行使や義務の履行に関して子の利益のために互いに尊重し協力が必要

つまり、婚姻中でも離婚しても親は親であるという責任があるということを明確化したと言えます。父母が協議上の離婚をした際は、現行ではどちらか一方を親権者として定めなければならかったのが、双方または一方を親権者と定めるとされます。つまり、話し合って離婚できる場合はどちらか一方でも双方でも親権を持つことになります。

親権の性質の明確化

民法818条第1項において、現行では「成年に達しない子は父母の親権に服する」とありますが、これを「親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない」と改められます。つまり、親権とは子の利益を重要視したものであるということを明確化させるものだと言えます。

2.親権及び看護等に関する規律

親権行使に関する規律の整備

民法第818条第3項の規律を明確化させるための規律と、親権行使における父母の意見対立時に対応するための仕組みとしての規律が新設されます。

(1)親権は、父母が共同して行う。ただし以下の場合は、その一方が行う

  • その一方のみが親権者であるとき 
  • 他の一方が親権を行うことができないとき
  • 子の利益のため急迫の事情があるといった場合は、その一方が行う

(2)父母は、その双方が親権者であるときであっても、上記の規定にかかわらず、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使を単独でできる。

(3)特定の事項に係る親権の行使(上記の父母が単独でできるものは除外)について、父母間の意見が対立する場合であって、子の利益のために必要だと認める際は、家庭裁判所は、父または母の請求により、特定の事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定めることができる。

このように父母が共同して子育てを行うことを基本としながらも、個々の事情に応じて単独で親権の行使が可能であり、絶対的に共同親権でなければならないといことではないことが分かります。

父母の離婚後等の親権者の定め

あおい

おそらくこれが1番の改正の肝かもしれません。

(1)父母が離婚をするときはその一方を親権者と定めなければならないとする民法819条を見直し以下の規律を新設

  1. 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方または一方を親権者と定める
  2. 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の双方または一方を親権者と定める
  3. 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は母親が行う。ただし、子の出生後に父母の協議で、父母の双方または父を親権者と定めることができる。
  4. 父が認知した子に対する親権は、母が行う。ただし父母の協議で、父母の双方または父を親権者と定めることができる
  5. 上記4つの協議が調わない場合や協議ができない場合は、家庭裁判所は、父または母の請求によって、協議に代わる審判を行う。
  6. 子の利益のため必要と認めるときは、家庭裁判所は子またはその親族の請求によって親権者を変更可能
  7. 裁判所は、上記の②⑤⑥の裁判によって、父母の双方を親権者と定めるか、その一方を親権者と定めるかを判断する際に子の利益のため父母と子の関係その他一切の事情を考慮しなければならない。以下の①または②のいずれかに該当するときその他の父母の双方を親権者と定めることによって子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければならない。①父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき、②父母の一方が他の一方から身体やその他心身に有害な影響を及ぼす言動を受ける有無協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことがこんなであると認められるとき
  8. 上記⑥の場合に、家庭裁判所は、当該協議の経過等を考慮するものとする。父母の一方から一方への暴力等の有無、家庭事件手続き法による調停の有無また裁判外紛争解決手続の利用の有無、協議の結果について公正証書の作成の有無その他の事情をも勘案する。                                                           

(2)父母の一方を親権者と定めなければ離婚の届出が受理できなかった民法765条第一項の見直し、成年に達しない子がある場合には①または②のいずれかに該当することを認めた後でなければ、受理できないものとする

  1. 親権者の定めがされていること
  2. 親権者の指定を求める家事審判または家庭調停の申立てがされていること                                                                                                                                                                                                                                                                             

今までは父母のいずれか一方を親権者と定めなければ離婚ができなかったのですが、法改正によって父母の双方または一方を親権者と定めることによって離婚後の子の利益を確保するという目的を明確化させようとしているのが分かります。何度も子の利益が明記されています。

離婚後の監護に関する事項の定め等

(1)離婚後に父母の双方を親権者と定めるに当たって、父母の一方を子の監護をすべき者とする旨の定めを設けずに、子の監護の分掌を加える

(2)子の監護をすべき者が指定された場合における権利義務についての規律

  1. 親権を行う者と同じ権利義務を有し、単独で、子の監護及び教育、居所の指定及び変更並びに営業の許可の取消し及びその制限をすることが可能
  2. 上記の場合には、親権を行う者(子の監護をすべき者を除外)は、子の監護をすべき者が上記後段の規定による行為を妨げてはならない

今までは父母のいずれか一方を親権者と定めることが当たり前であり、親権者と監護をすべき者がセットであったと思います。今回の法改正によって父母の双方を親権者と定めることが可能となり、子の監護の分掌、、、つまり離婚しても分担して一緒に子育てをしなさいよという意味だと解釈できます。

3.養育費等に関する規律

今回の法改正では養育費の支払いが滞った際に、他の債権よりも優先して支払われるという先取特権が付与される規律が新設されます。

また養育費の分担を取り決めずに離婚した際も支払いを一方に請求できる法定養育費制度が新設されます。ただし支払い能力にない場合は、支払いが困難であることを証明が必要とされ、裁判手続きにおける情報開示義務が課せられたり、申立てをする側の負担軽減のために執行手続きの規律が新設されます。

こうした養育費等の規律が整備されることになった背景として、養育費不払いの問題があります。母子世帯へのの養育費の支払いは24.3%となっており(令和2年)、離婚時に養育費の支払いを話し合ったにも関わらず払われていないケースがあるということです。離婚後には養育費が必ず支払われ、親の都合で不払いを許さないといった声を拾ったものから整備されたものだと推測されます。

養育費の支払いについて、請求権を持っているというところで留めていたので良かったなと思います。義務化されそうな勢いがあったんだなと家族法制部会の議事録を読んで感じました。あらためて親になることの責任の重さを実感します。

4.親子交流に関する規律

婚姻中に別居する親子の面会交流について新しい規律が設けられます。調停中で話し合いが継続されている中でも、家庭裁判所が面会交流の試行を促進できるようになります。今後の面会交流がスムーズに行うことができるようにするという目的があるものの、虐待やDV等のおそれがあるかどうかを早急に把握し、面会交流を認めるのか認めないかを判断することができます。

親である父母のみならず、祖父母等が子どもの養育に関わる場合も面会交流を求める審判を請求できるようになります。

5.養子に関する規律

現行では子が養子である時は「養親の親権に服する」となっていたのが、親権者は養親もしくは養親の配偶者である子の父母とされ、養子縁組がなされた場合の親権者が明確化されます。

また養子の父母が離婚した場合に、協議上で双方または一方を離婚後に親権者とするよう定めなければなりません。

協議が困難な場合は、家庭裁判所において父もしくは母または養親の請求によって審判を行うことが可能となります。

6.財産分与に関する規律

財産分与の考慮要素等が明確化されます。協議が困難な場合に、離婚後の生活がどちらか一方に負担がかからないよう、各当事者のお互いの関わり方や生活水準等の全ての状況を考慮して分与できるかできないのか、分与の額や支払い方法等を定めます。

7.その他

  1. 夫婦間の契約の取り消し権の項目の削除
  2. 裁判上の離婚事由として配偶者が強度の精神病になり回復の見込みがないことを裁判上の離婚の原因と定める項目の削除

浜田聡議員に質問していただきたいこと

  • 離婚後、共同親権を選択した父母は児童手当の受給の際は、お互いの取り決めにより受給者を決定するのか、もしくは婚姻時同様に収入の高い方が受給となるのかを明確にしておいた方がトラブルにならないのではないでしょうか?
  • 今回の法改正では、婚姻の有無に関わらず「親の責務」を明記しています。核家族が主流となり夫婦が協力し合って子育てをするのは子の利益のために当たり前のことではありますが、国民負担率48.4%(令和4年度実績)となり、物価高上昇も相まって可処分所得は減る一方です。親の責務を全うするためには手元に自由に使えるお金を増やし、各家庭のスタイルにあった子育てサービス選択し利用しやすくなることも重要だと考えます。補助金や給付金をばら撒くよりも、減税や社会保険料の減額を求めます。

シングルマザーの自分が思うこと

私の場合は価値観の違いから離婚に至ったので特に言い合いもなく円滑に協議離婚をしました。離婚する際にまず考えたのは子の利益です。

まあ離婚をするという結論になった経緯はさておき、元夫とは基本顔を合わせたくないわけですが、親権者となった私が子どもから父親を奪ってはいけないという思いの方が強かったように思います。夫婦の関係は冷めきったとしても、親子関係は続いていきます。公正証書等は作成せずに口約束ではありますが、面会の頻度や養育費の件を取り決めました。(養育費はなしで合意)

小学校低学年の頃は元夫とメールや電話でやり取りをしていましたが、子が自分の携帯でやり取りできるようになると直接元夫とやり取りすることが減り、間接的に「子から〇月〇日にお父さんと遊ぶけど良い?」という確認をする程度に変化していきました。子の進学の件では元夫と意見の食い違いはあったものの話し合いができたことはよかったなと思っています。現行制度の中でも特に父母の関係が良ければ問題ないと実感しています。

しかし、離婚後の親子関係は千差万別です。話し合いで解決できないこともたくさんある思いますが、婚姻中であろうが離婚をしていようが子の親であるという責任の重さには変わりがないということを改めて考えさせられました。

今までの単独親権のみの選択肢だけではなく、共同親権にするか単独親権にするかを話し合って決定するという今回の法改正は、経済的な面においては単独親権より共同親権の方が子の利益につながります。

やたらと共同親権に反対し、貧困層のひとり親家庭をターゲットにした単独親権を勧めてくる貧困支援を生業とするNPO法人の公金中抜きには愕然としています。同じ福祉職として驚きを隠せません。

政府のバラマキ福祉政策に群がる悪徳業者の増加を食い止め、子の利益を守るには共同親権が基本となることが望ましいと考えます。今回の法改正では、養育費が払えない場合や虐待やDV等の恐れのある場合は裁判所の判断で単独親権とする旨が記載されているので概ね賛成とさせていただきます。

あおい

離婚を決断する際には子の利益を最優先に考えるべし!!

最後まで読んでいただきありがとうございます♪

参考文献

法務省:民法等の一部を改正する法律案

法制審議会-家族法制部会